伊勢神宮自転車お参り探検記(復路編)

2009年1月1日15時半、帰りのスタート。
たった半日間伊勢にいただけなのに、別世界にいるような気がする。このまま東京に戻ったら浦島太郎になるのではないかな。でも頑張っていかないと帰りが間に合わない。とにかく走るのだ。徹夜で走らなければならないかもしれない。

 

16時半、鳥羽フェリー港についた。17時40分のチケットを買って出発4分前に船の中にゴールした。
人がいっぱいだ。でも気にせずにスリーピング。今のうちに睡眠を補充しないと走れないかもしれない。

 

17時40分、静かだなと思い、ふっと目覚めたら最後の乗客が客室を出るところだ。びっくりして私も客室を出る。再び戻った伊良湖岬は暗くなろうとしている。でも泊まることは許されない。走ろう。

 

2009年1月1日もあとわずか。絶景だ
2009年1月1日もあとわずか。絶景だ

 

伊良湖岬港
伊良湖岬港

 


 

2009年1月2日 (6日目)

午前2時、42番国道を走り、浜松に戻ってきた。今からは再び東海道、大名の参勤交代の再現だ。
しかし何の感懐もない。浜名湖だって真っ暗で何も見えない。早く文明社会に戻りたいという一念だけ。神宮のパワーが体内にいっぱい注がれたみたいで全然疲れてない。
7時、神宮から遠ざかるに従い、神宮のパワーが薄くなってきたようだ。私が自転車に乗っているのか、自転車が私の背中に乗っているのか分からない。このままじゃ東京に着く前に過労で死ぬかもしれないと思い、少し休むことにした。でもなかなか休める場所が見当たらない。マクドナルドが見えてきた。ここなら休めるだろう。100円でコーヒーを注文し、飲みもせずにぐっすり寝込んだ。

 

9時30分、休憩終わり、出発。
恐怖を感じながら越えた掛川の峠も朝にはほかの峠と同じ。風もあまり強くなくてあっという間に超えてしまう。
18時、静岡市。誰も迎えに来てくれない。それにしてもさびしい旅だな。頭の中では止まらずに時間と距離の計算が行われている。こんなに一生懸命数学の勉強したことあったけ。

 

22時、富士市についた。もう疲れてペダルを踏む力も残っていないのに伊勢に行く時とほとんど同じ、あるいはそれ以上のスピードが出るのは風のおかげだ。冬には北西風が吹くということは小学校に勉強したことなのに、それが今ここで体感できるとは思わなかった。

 


 

2009年1月3日(7日目)

24時を過ぎても走りは止まらない。帰りは箱根を越えないので負担がない。箱根駅伝のお陰だ。
25時半、沼津市の大岡についた。ここからまた東海道とお別れだ。東海道さん、お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

246国道は東海道のようなスリルはない。高くまで登ることはないがなだらかな坂道が続くのが大変。しかも遠回りするので東海道よりかなりの時間がかかる。車も走らない、人もいない道を一人で走る。もう恐怖なんかどうでもいい。坂道が出たら自転車から降りて自転車を押し、下り道は乗って走るだけだ。機械的に同じ動作を繰り返すうちに携帯の電源が切れた。ipodの電源もあと20パーセント。

 

7時、御殿場市に入った。御殿場の漢字を読む瞬間、御殿場プレミアムアウトレットが頭に浮かんでくる。なんてことだ。まだ買物への意欲は残っているのか。もう少しで神奈川県なので、頑張って走ることにした。コンビニの数が増えた気がする。街を歩いている人数も増えてきた。やっぱり朝はいいな。気になるのは自分の格好。

 

8時半、デニーズを見つけた。適当にスパゲティを注文して携帯を充電した。液晶の中に埃が入ったようでものすごく気になる。東京に戻ったらアップルストアに行って交換してもらおう。
1時間半ぐっすり寝た。店員さんの視線を感じ、目覚めたら慌ててお会計をしてその場を去った。箱根ほどはないけどまた峠が現れてきた。最初はこれぐらい楽勝と思ったけど、そうでもない。さりげなく自転車から降りて押し始めた。トンネルが相次いでいる。車が私のそばをすれ違う度に凄い埃が浮いてくる。息苦しい。
およそ5時間を乗ったり押したりしてぼんやりと進んだ。写真なんか撮りたくない。
午後2時、田舎の八百屋に入った。林檎を2個買って洗いもせずにその場で食べたら周りの人が化け物を見るような眼で私の方を眺める。
八百屋のおばさんが話かけてきた。

 

おばさん:「家出したの?お坊さんには見えないけど。」

私:「はい?」

おばさん:「リンゴぐらい洗って食べた方がいいよ。そして君、覚えのない顔だけど、どこの人?」

私:「旅行中です。伊勢まで自転車で行って、今は帰りです。」

おばさん:「本当?!何でそんなことすんのよ。」

私:「まぁ、人生自体が旅のようなもんでしょう。」

おばさん:「あんたいいこと言うわね、良かったらこのみかんも食べて。水はいらないの?」

私:「あ、ありがとうございます~頂きます。」

 

田舎心はまだ残っていたのだ。約1000円分(田舎で1000円分のミカンはかなり多い)のミカンをいっぱいもらってしまった。金を払おうとしたら「供養したことにするわ。お金はいらないよ」と言われた。いきなりお坊さんにされてしまった。困ったな。

 

18時、厚木を走っている。だいぶ文明圏に入ってきた。人間って2日ぐらい寝なくても平気だなと思い、自分に感嘆した。
そして20時半、東京入城。出発と同じのように二子玉川のほうで東京に入ってきた。心配した浦島太郎のような事態はなかった。みんなが福袋を持ってギャギャ笑いながら街を歩いていたが、私はとてもお正月にはふさわしくない格好だった。
23時、おうちへゴール。新年を招き、大清掃をしてお風呂に入った。極楽だな~

寝る前に神宮の絵馬に真心をこめてお願いを書いた。疲れているはずなのに全然眠くない。絵馬を前にしていたら心が清らかになるような気がする。2009年は年明けからいろいろ大変だったが、その苦労が甲斐として戻ってくるように。

みんなが幸せになる1年になるように。
神宮で会った女の子と再会出来るように。(これはちがうな)

 

剣祓

 

お守りと絵馬、絵馬の裏には2009年の願いが書いてある
お守りと絵馬、絵馬の裏には2009年の願いが書いてある