富士山と一つになって

皆さん、こんにちは!フジムラコンテンポラリーアートの韓国通訳担当で、冒険好きのチェ・ヨンジンです。皆さんはこの暑い夏をいかがお過ごしですか?クーラーをつけても、扇風機をつけても暑さはちっともおさまらず、冷たい水にシャワーを浴びてもすぐ汗をかいてしまう、不快指数が限界まで高まってしまうこの夏。

 

私はこの暑さ、そして自分の弱みと正面に向かって戦うために、闘って勝ち抜くために、7月24日から25日ま2日間富士山に登ってきました!これからその体験を生々しく皆さんにお伝えいたします。さぁ、登山の準備はできましたか?

 

 

私は去年の「東京―伊勢神宮自転車旅行」に続いて、この夏は富士山に登る計画を持っていました。富士山登頂ルートがオープンされるのは一般的には毎年7月1日の山開きから8月26日の山じまいまでで、毎年この時期は富士山に挑戦する人々で混み合います。

 

 
私はまず富士山に登る為の情報収集と共に、一緒に登る人をインターネットでさがしました。7月10日、ようやく男性4人のメンバーが決まりました。みんな仕事、年齢、趣味は違いますが、富士山征服という目標だけは同じでした。最初の情報交換会の時はみんなオズオズ・モミモミ。

何を言えばいいんだろって感じでしたが、ビールが1杯、2杯入るうちに仲良くなって自分なりの意見を開陳しながら、お互いのことを分かり合うことができました。そして、時間は川の流れのように過ぎ去り、あっという間に24日の朝になりました。私は準備物を一つ一つ点検しながら忘れ物はないかを確認しました。

バックパック、オークションで買った中古のトレッキングシューズ、レインジャケット、余分の服、お水、チョコレート、非常食糧、ヘッドライト、ジーショック、カメラ、そして山口百恵と松田聖子、その他のアルバムがいっぱいいっぱいのipod…

 

 

午後1時、横浜駅西口で集合したメンバー全員は昼食を簡単に済ませた後、車で移動を始めました。お天気は雨でしたが、でも現地は晴れるだろうという漠然な希望を持って。
国道246号を走り出して約4時間、車は富士スカイラインに進入しました。雨はやんだとはいえ、周りは霧ばかりでメンバーの口から「ええ~マジ日の出見れんの?」の話が出始めました。

でもここまで来て車を戻すわけにはいきません。みんなは「まぁ、いいんじゃない?どうせ天気が悪かったらのぼる人少ないからスラスラ登れるし。そして頂上の天気はきっとこことは違うだろ」と自己催眠のようなことをしゃべり合いました。

 

ようやく時間は17時半になり、富士山の入口、新五合目につきました。
車から降りた私達は雪に会った仔犬のようにワイワイしながらあっちこっちを走り回りました。新五合目だけで海抜2400m。もう暑さは感じられません。周りは霧と雨に囲まれ、何とも言えない不思議な雰囲気を演出していました。もう「夏の扉を開け、青い南の風に乗って、富士山の頂上までいい日旅立ちを実現させようではないか!きっと私を待ってる人がいるはず」という私の目標は水泡になって消えてしまいました。

 

気圧の差でカップラーメンが膨らんでいます。さすが2400m!
気圧の差でカップラーメンが膨らんでいます。さすが2400m!

 

荷物の点検中
荷物の点検中

 

登山杖も買いました。これで準備バッチリ!
登山杖も買いました。これで準備バッチリ!

 

日の出を見るためには徹夜で山を登らなければなりません。夏の富士山の日の出は朝4時半ごろですので、私達もその時間に合わせて19時半に出発することにしました。
約2時間の睡眠をとり、19時半、ようやく登頂が始まりました。残念なことで、私達が山を登り始めた時、雨が降り出しました。「すぐやむだろ、すぐやむだろ、少し高いところまで行けばよくなるだろ」と思いながら前進、そして前進。

 

発進!グッドラックです!

発進!グッドラックです! 

 

登山が始まって間もなく六合目に着きました。時計を見たら20時15分。「あれ?もう六合目ついちゃった?な~んだ、楽勝じゃん」内心緊張していたメンバーたちが嘲笑ってます。
しかし、六合目を過ぎてから嵐は一層強くなりました。ヘッドライトの光量を最大に上げても可視距離が2mに及ばない山道。この場合、恐怖と不安が重なって、疲れは倍になります。

 

六合目について

六合目について 

登山のメンバーたち。雨と嵐で一寸先が見えない状態でした。
登山のメンバーたち。雨と嵐で一寸先が見えない状態でした。

 

21時、7合目と8合目の間の山荘に着いて休憩です。もう顔から微笑は消えています。防水レインジャケットは役に立たず、嵐はその猛威を振るっています。寒くて寒くて仕方ありません。もう朝日なんか、日の出なんかどうでもいいです。上った道を戻り、近くの温泉に入ってのんびりしたいです。

 

でもここまで来て戻るわけにはいきません。前に進むしかありません。まさに伊勢神宮の時と全く同じ、進退両難の状況です。「どうせどっちにしろしんどいなら、進もうか」と思いながら、寒さと嵐に疲れた体を立たせました。下着まで濡れてしまう程の威力の雨と嵐にも負けずに歌を流しているipodを出して、松田聖子と中森明菜の曲を再設定しました。出発です。

 

 

7月末の天気とは信じられないほどの寒さと闘いながら私達は一歩、そして一歩、前に進みました。靴下まで水が染み込んでいます。靴のどこかで水が漏れているようです。そういえば、かなり靴が重くなった気がします。険しい石だらけの道が現れました。もうお喋りする人、くだらない冗談を言う人なんてだれ一人もいません。黙々と前に進むだけです。

そして、大惨事が発生。私の靴の、ヤフオクで買ったナイキACGトレッキングシューズの右足の靴底がとれてしまったのです。もう市場に出てから10年以上のモデルで、接着剤の劣化が原因と考えられますが、その当時はあまりにも突然の事態で、どうすればいいか分からないほどでした。どうすればいいかが分からない時は、今までの行動をリピートすれば良いのです。私は仕方なく、前に進むしかありませんでした。「家に着いたら、あのくそ販売者め顧客評価を最低・最悪にしてやる。おぼえてろ」と悔しみながら。

 

 

22時、3番目の山荘の所に着きました。もう休憩する余裕はありません。いや、休憩したらそのまま体が冷え込むのが怖いのです。寧ろ歩き続けた方が体から熱が出て少しでも温かいです。

22時40分、4番目の山荘に着いた時、いきなり不安が全身に掩襲します。「このまま頂上に着いたのに嵐で朝日が見れなかったら?朝日が見れないなら今夜頂上まで行く意味なんてあるの?」
そしてこの不安はすぐに誘惑に変貌しました。「どうせ朝日見れないならこの山荘に泊まって、体を温めて、明日元気な体調でまた登った方がいいんじゃない?安全第一だよ~」

 

 
そして…負けました。山荘さんの「明日日の出見るのは難しそうですねぇ~」が決め手でした。
ここで富士山の山荘について少し説明します。
富士山の山荘のお泊まり料金は1人5000円です。
着替え室、ありません。
個人ロッカー、ありません。
共同荷物置き場と二階ベッドがあるだけで、女性・男性ベッドの区分もありません。ベッドは幅3mぐらいの広さで、ここに4人が一緒に寝ます。決して快適な環境とは言えません。

 

ベッドはこんな感じです
ベッドはこんな感じです

 

周りのベッド、カプセルホテルのような…
周りのベッド、カプセルホテルのような…

 

山荘の看板
山荘の看板

 

翌朝、私はメンバーから「チェさん、朝日見れるよ!日の出ですよ!」と言われ、起こされました。夢うつつにも、写真を撮らなきゃ!!!という一念で私は外に出ました。目の前に広がったのは、富士山の荘厳な風景、そして日の出でした。この日の出は、私が今まで見た日の出の中でも一番きれいな景色でした。

 

日の出です!
日の出です!

 

果てしなく広がっている雲霧
果てしなく広がっている雲霧

 

いくら寒くて眠くても自分の写真だけは(笑)
いくら寒くて眠くても自分の写真だけは(笑)

 

山荘のチェックアウト(?)の時間が朝7時なので、6時40分、全メンバーが出発準備を終わらせて集合しました。朝、明るいところで靴を点検してみたら、これはひどいことになっていました。右足の靴底が完全にとれてしまって、残っているのは薄い布だけでした。もしそれが破れたら、その中にあるのは靴下、次は裸足です。
でも、のぼるしかありません。7時、頂上に向かってスタートしました。何か、頭が痛いです。こめかみを誰かが凄く押さえつけているような気がします。吐き気もします。
「ああ、これが高山病か」と思いながら一歩一歩前に進みました。

 

朝出発する時まで晴れだった天気が私達が出発して間もなく、また嵐にかわりました。前が見えるから視野確保には問題がありませんが、その分嵐も激しいです。雨粒が顔に当たって痛いです。風が強すぎて小石が飛び回ります。地面は殆ど石ばかりで右足が痛いです。

8時半、9合目に着きました。頂上まではもう少しです。頑張るぞ、頑張るぞ、と思いながら昇る途中、最悪の事態が起こりました。左側の靴底もとれてしまったのです。まるで「裸足の季節」の「絶体絶命」、いや、裸足の富士山です。

 

九合目は目の前、頑張れ!
九合目は目の前、頑張れ!

 

ここが九合目です
ここが九合目です

 

こ…これは!万年雪!約3500m地点で撮影
こ…これは!万年雪!約3500m地点で撮影

 

険しい危ない富士山の道
険しい危ない富士山の道

 

でも負けないぞ!
でも負けないぞ!

 

時間も感じられなくなり、高度も感じられなくなり、10m歩いて休憩のリピートが始まりました。疲れよりも高山病の方がもっと苦しいです。足痛い…足痛い…と口癖のように呟きながら歩き続きました。

 
あれ?目の前に何か鳥居のようなものが見えます。まさか頂上?メンバーのみんな-私を含めて-は高山病も忘れたように走り出しました。そこはゴールでした。頂上でした。私はようやく富士山の頂上を征服し、日本一高い所に立ったのです。不思議にも、ちょうどその時、私の耳には「いい日旅立ち」が流れていました。午前11時15分でした。

 

頂上について食べたラーメン
頂上について食べたラーメン

 

目標達成しました!いい日旅立ち!
目標達成しました!いい日旅立ち!

 

頂上の休憩所でメンバーと共に
頂上の休憩所でメンバーと共に

 

とにかく凄い雨、嵐です
とにかく凄い雨、嵐です

 

浅間大社でお参り後、持っていた杖に焼き印を頂きました。
浅間大社でお参り後、持っていた杖に焼き印を頂きました。

 

浅間大社の前で。寒い…
浅間大社の前で。寒い…

 

噴火口も見たかったのですが、お天気が悪いため無理でした。伊豆半島を越え、日本列島の美しさを満喫したかったのですが、お天気が悪いため無理でした。何でもかんでも天気のせいにするようで、少し申し訳ありませんが、事実です。

 
12時40分、帰りの始まりです。下りは思ったより大変でした。まず、富士山は火山の為、周りには火山灰がほとんどですが、火山灰の道を歩いたら火山灰の下に隠れている大きい石を踏む可能性があるので、常に緊張状態です。石、岩になっている道は言うまでもありません。もちろん、いいトレッキングシューズを履いていたら、私がこんなくだらない内容を書く意味がありません。全ては私が裸足だったからなのです。

 

完全に疲れてしまい、頭の中には「早く戻らなきゃ…」でいっぱいでした。9合目、8合目、7合目を順番で通り過ぎるにあたって、登りの登山客とすれ違う機会も増えました。みんな活気溢れる顔です。ああ、きっと昨日の私達もこのような顔をしていたのだろと思いながら、下り続けました。

 

7合目を通り過ぎて休憩のとき、隣には大学生に見える男女7人のチームがいました。そのチームの中の女の子が私の足に気付き、「あの…足、大丈夫ですか?」と話しかけてきました。
私 「大丈夫に見えます?」
女 「いいえ…」
私 「ご覧のとおりですよ」 
女 「どうしちゃったんですか?」
私 「ヤフオク妄信の結果です。ヤフオクなんてところで物買わないで下さいね。」 
女 「あ、は、はい… 私、番組録画している芸能人さんかと思いました。」
私 「違いますよw どこが芸能人に見えますか」 
女 「あ、確かにそうですね」
私 「でしょう?(失礼な女だな) 登り頑張って下さいね」
女 「有難うございます~~気をつけてね」

会話はここで終わりです。「日本のどこかで私を待っている人」は結局現れませんでした。

 
午後1時半、私達は新五合目に無事戻りました。無事任務達成しました。今回の富士山旅は少し未練の残る旅だったと思います。また機会があったら、その時はきれ~いな日の出を見ながらお日さまにお祈りしたいと思います。

長い文章、くだらない文章、お読みいただき、ありがとうございます!

 

やった!無事帰還しました!
やった!無事帰還しました!

 

足がこんな目になっちゃいました
足がこんな目になっちゃいました