「2010年のキム・ソングン」変わり続けるアグレッシブなアーティスト‐その1‐

みなさん、こんにちは。
今回は、皆さんご存じの話題のアーティスト 「キム・ソングン」 について、様々なことを語ってみたいと思います。皆さんもご存じのとおり、私たちがキム・ソングンの作品を日本に紹介して、もう3年目にもなります。

 

キムソングン画伯のアトリエ、ソウル

 

家族と一緒に

 

作品制作中のキムソングン画伯

 

現在、日本国内に紹介されているキムソングン画伯の作品は「日常の向こうへ‐セサンバクロ」シリーズです。清らかな空の色、深い意味を持っている素材、人間の人生を語るアーティストのメッセージ、絶対の平和を感じさせる全体の雰囲気…キムソングン画伯の作品が国境を超え、日本で老若男女を問わず愛されているのは、このような様々な理由があるからかもしれません。

 

しかし、キムソングン画伯の作品が最初から穏やかな、清らかな感じだったのではありません。初期作品を見ると、「これが本当にキムソングン先生の作品?!」とびっくりするほど違う雰囲気を感じさせます。暗い空、紫色の背景、風景ではない静物画の作品など…

 

日常の向こうへ(2003年作)

 

老人の午後(2004年作)

 

日常の向こうへ(2005年作)

 

お母さん(2007年作)

 

日常の向こうへ(2008年作)

 

日常の向こうへ‐扇子(2008年作)

 

もちろん今の作品に比べて昔の作品のレベルが落ちる、下手だという意味ではありません。作品というのはアーティストの鏡と言います。ですから、普通は急に画風が変わることはあまりなく、少しずつその雰囲気を変えて新しい画風に挑戦していくのが一般的でしょう。キム・ソングン画伯にその理由を直接聞いてみました。

 

初来日展の時、お客様と一緒に

 

1次韓国ツアー、地方アトリエにて

 

2次韓国ツアーの楽しい一時

 

フジムラコンテンポラリーアート(以下F):先生、5、6年前の作品と今の作品は、その雰囲気があまりにも違いますけど、何か理由があるのでしょうか。

 

キム・ソングン(K):はははっ、確かに、今の作品スタイルは過去の作品と大分違いますよね。実は、「日常の向こうへ・セサンバクロ」というテーマは、昔からずっと考えていたテーマです。ですから、今皆さんが見て「なんでこんなに暗いんだろう…」と思う作品も実は、「日常の向こうへ」シリーズに入るわけですね。

 

F:現実的にアーティストが自分の作品スタイルを変えるということは、かなりの勇気を要すると思います。アーティストには一種の冒険でもあるような画風替えを、なぜ先生は実行したのですか?

 

K:ウム… 何て言えばいいですかね。
アーティストにとって新しい画風への挑戦は、必要不可欠なものだと思います。もちろん誰でも自分の作風は変えたくないはずです。もう充分コレクターに愛されているし、認められているから。画風を変えてから、あまり好まれなかったらどうしよう…という迷いもあるんですね。それに、正直画風を変えるのは、アーティストにとってものすごい大変な作業でもあります(笑)。

 

しかし僕は、アーティストなら新しい画風に挑戦するべきで、挑戦せずにいつも同じ画風にこだわるのはアーティストとしての姿勢ではないと思います。勿論苦しいし、大変だけど、それがアーティストとしての宿命ですね。アーティストだから上手い作品を描けるのではなく、いつも作品のことで悩み、努力するからこそアーティストと呼ばれるのではないでしょうか。

 

また、僕の作品スタイルが変わったのは、実は一つのきっかけがあります。
僕がアメリカの西部に行った時のことです。僕は果てしなく続く砂漠の高速道路を走っていました。山もビルもなく、地平線が大きくて綺麗な曲線で見える、ものすごく素敵な自然の風景でした。その時ふっと空を見たら、真っ青な空に雲が一つ?二つ?ゆっくりと流れていました。その空が、僕が子供の時いつも見上げた空にとても似ていたんです。皮肉にも、アメリカの空を見て故郷の空のことを思い出したんですね。

 

その時、「この綺麗な空を、環境汚染に汚れていない空を、みんなに見てもらいたい。コレクターの方にノスタルジアを感じてもらおう!」という考えが浮かんできたんですね。それで韓国に帰国してからすぐ作品制作に入りました。
不思議なのは、アメリカでカメラを使って空の写真をたくさん撮りましたが、いざ絵を描こうとしたら、これだって感じの写真が一枚もなかったんですね。むしろ自然のカメラでもある自分の目でその時見上げて覚えた空の色を、作品に投影するほうが、とても楽しくて…気に入りました。アメリカに行ったとき老眼じゃなくてよかったんです(笑)。

 

 

話は以上のような感じの内容でした。ノスタルジアをイメージして作品を描いたからか、キム・ソングン画伯の作品にはよく小さい家が登場します。この家が、実はキム・ソングン画伯自身が幼年期を過ごした故郷の家なのです。

つまり、出来上がった作品を観る観覧者に自分のノスタルジアを感じさせる一方、作品を描きながらキムソングン画伯自身の故郷への思い、ノスタルジアを味わい、作品にそれを反映したのかもしれません…。