総力取材!ウレ・リトゲン インタビュー 1/3

2012年、ウレ・リトゲン画伯が大きく動き出しました。
自身が率いるFair WarningのBestアルバム「Best And More」を2月にリリース、そしてほぼ時を同じくして画家としての新作をリリース、さらに現在はFair Warningの新作のレコーディング中…。妥協を一切許さない完璧主義者である事はファンなら誰もが知っている事ですが、やはりこの集中力には毎回驚かされるばかりです。

 

この忙しいであろう最中、フジムラコンテンポラリーアートはウレ・リトゲン画伯へのインタビューに成功!今回発表される新作に関する話や、プライベートな質問まで、たっぷりと話を聞く事が出来ました。特別企画として、その内容を3回に分けてノーカットでお送り致します!

 

 

■ さて早速お話を伺いたいと思います。まずは「In Namenloser Stille」です。このモチーフはいつ頃作成したのですか? 
ウレ・リトゲン(以下U):この作品は2005年の作品だ。友人であるジーノ・ロートが書いた同じタイトルの詩にインスパイアされて制作した。タイトルを日本語に訳すなら「名もなき沈黙の中で」かな。

 

■ この作品はジーノのアルバムジャケットに使用された事もあって、ファンの間でも有名な作品ですが、そもそもどの様な経緯で実現したのですか? 
U:彼の詩にインスパイアされて作ったいくつかの作品のサンプルを送ったら、すごく気に入ってくれて、それでアルバム「Runway to the Gods」が完成したとき、3つの作品をアルバムジャケットに使うことになった。
※「In Namenloser Stille」の他、「Zeit」「Schweigen」が使用されている。

 

■ この作品で特に気に入ってる事は何ですか?
U:詩の内容でもある壮大さとか無限という感覚を表現できたことかな。

 

■ 確かに。壮大さと無限な感覚を強く感じますね。気になっているのですが、ここはどういう場所ですか?
U:ここはとても高い山の頂上で、世界中を見渡すことができる場所だ。普段の生活からは切り離されていてその「向こう」を垣間見ることができる場所、つまり実在の場所というよりはもっと抽象的で精神的な場所、地球とそれより高い場所の狭間、といったらいいかな。

 

■ とてもスピリチュアルですね。より理解する為にも絵の構成を説明してもらえますか?
U:惑星はより高い天空への境界線を象徴している。作品全体は水、火、空気、地球などのいろいろな要素から構成されていて、それらが別の形に変わっていくことで新たな現実が生まれる。同時にすべては懐かしくもありながら、奇妙に美しくもあって、ほとんど抽象的とさえ言える。そしてすべてはたった一つの光、この絵の中で言えば神聖な夕日から力を得ているんだ。

 

■ なるほど。そうなると気になるのは彼です。絵の中の人物は誰ですか?彼は何を考えているのでしょう?
U:この人物は物質とスピリチュアルな世界の狭間にある人の精神の象徴だ。僕の作品の中でこの人物はよく「さまよえる旅人」として登場する。人生は誕生から死にいたるまでの旅のようなものだから、とてもぴったりとくる隠喩だと思っているよ。.


この人物は必ずしも何かを「考えている」わけではない。高いところにある意識というものは非常に強く「感覚」と結びついている。直感は知性と感情を結びつけるんだ。おそらく僕らがこの絵を見たときに感じることを、彼は絵の中で体験しているはずだ。

 

■ 直感が知性と感情を結びつけるというのは興味深いコメントですね。この作品における一番のメッセージは何ですか?
U:僕らは通常エゴにとても縛られている。それは極性や優劣をつけることで信念を生み出すんだ。でも精神というものは本来なら限界などなくて、すべての存在はひとつであり、そのことにみんなが気づくことができれば本物の自由への道に入っていくことができる。それがこの作品のメッセージかな。

 

■ この作品にはリタッチが施されていますが、リタッチについてコメントをお願いします。
U:ブラシと絵具で、版画ではなかなか出せない3D的な効果をつけるのがリタッチだ。ただ、作品のサイズがこのくらい小さくなってしまうと、すごく細い筆と拡大鏡を使ってリタッチをするので、それはもうものすごい時間がかかる。そして絵具が乾くとほとんど見えなくなってしまうから何度も塗り重ねたりして、すごく労力のかかっている作品だよ。

 

■ リタッチをするとき、何が一番重要ですか?
U:絵具の色と、版画の色の「感覚」をあわせることかな。でも時々わざとアクセントをつけるために少しはずれた色を入れるのも好きなんだ。その方が絵具が入っているのがお客さんによく見えて、僕がちゃんと働いたんだ、ってことがわかるしね…(笑)

 

■ ファンは皆、ウレ・リトゲン画伯が働き者である事を知っていますよ(笑)。単純すぎて答えにくい質問かもしれませんが、この作品を今回の新作に選んだ理由は?
U:他の2作品と比べてこの作品は哲学的な作品で、それが対照的でおもしろいと思ったからだよ。

 

つづく