総力取材!ウレ・リトゲン インタビュー 2/3

ウレリトゲン画伯の話は奥が深く、時に抽象的な比喩表現などを含む為、聴く側である私達にも集中力が必要となりますが、何度も噛み締める様に読み返せば、ウレ画伯の描く世界観は我々の生活・人生に密接に関わり合っている事が解ります。

 

それでは、Part2スタートです!

 

Leaves Of Light
Leaves Of Light

 

■それでは続いて「Leaves Of Light」です。基本的な質問からになりますが、この作品の制作はいつ頃ですか? 
ウレ・リトゲン(以下U):一番最初のバージョンは去年の初めに制作して、そのあと12月ごろ手直しをして最終的に今年の1月に仕上げた。

 

■とても気になっているポイントなんですが、この場所はどこですか?この場所に関する物語などはあるのですか? 
U:僕の作品に出てくる風景はすべて想像上の場所だ。作品上にある意識的、無意識的なたくさんの要素やシンボルの意味するものは、たいていものすごく後になってから、つまりこんな風にコメントをする段階になってからだんだんわかってくるような感じなんだ(笑)
僕の作品における「場所」というのはたいていはすごく直観的な「場所」つまり感覚とか空気感みたいなものを表している。この場面は、心地よく風がそよぐ晩夏か初秋、平和、あこがれ、受容、そういうものが表現されている。

 

■実在する場所ではないのですね。背景にある空はまるで油彩のようですが、水や木々の葉などはまるで写真の様に見えます。何か意味はあるのですか?
U:一つの作品の中でなめらかさと荒々しさを対比させるのが好きなんだ。芸術的表現の凝縮の結果だ。いわゆる「デジタルアート」の無機的でつるつるした感覚を避けるためにやっている。何層にも折り重なった「美」を表現するためには欠かせない手法だ。

 

■「対比」というのはウレリトゲン画伯の作品にとって、ひとつの重要なキーワードになっていそうですね。具体的な質問になりますが、作品の右側に描かれているこの石柱はどこかへの入り口ですか?それとも寺院や建物の一部ですか? 
U:そうかもね…たぶん人工的なもの、つまり計算された美のシンボルじゃないかな。計算された美というのは、周りの環境とか自然の産物の中に控えめに溶け込んだときだけ本当に美しく見えるんだよ。

 

■なるほど、控えめに溶け込んだとき・・・ですか。もう少しこのポイントについて聞かせて下さい。右側の石柱と左側の木がまるでアーチのように描かれて別世界への入り口を作っているように見えますが、 これにはどんな意味がありますか? 
U:すごい観察力だね!そう、まさに人工物と自然の共演なんだ。異質のものが新たな本物の合成によって一つの物を形作る、この場合はアーチだね。これはより深い、遠くにある現実へのゲートだ。

 

■とても深い内容ですね。そうすると、この作品における、一番のメッセージは何ですか?
U:うーん、たぶん主観的で依存的で創造的な命へのたゆまぬ憧れ、ってとこかな。それらはリアルでビビッドな木の葉(みんなそのうち散って死んでしまう)がシンボルになっている。本質的で永遠のもの、我々に命を与えてくれるものというのはいつだって基本ではあるけれど遠すぎて手の届かない存在だと思いがちだ。


作品に描かれている鳥は遠くへと羽ばたいていく魂だ。秋になると渡り鳥たちは夏のすみかを後にして太陽に向かっていく。まるで肉体的な存在が終わりに近づいて、魂が肉体を離れていくみたいにね。
僕にとってこの作品は美と人生のはかなさを意味している。

 

 

Silent Rise
Silent Rise

 

■続いて「Silent Rise」です。これも基本的な質問からさせて下さい。この作品はいつ制作しましたか? 
U:去年のクリスマスの頃に作った。

 

■次の質問の答えは「Leaves Of Light」の時に既にお答え頂いてますが(笑)。改めて聞かせて下さい。この場所は実在の場所ですか?
U:もちろん存在するよ、だって今君の目の前にあるでしょ…(笑)いや、さっきも言ったように、この場所は想像上の場所で、身近で自然な要素を組み合わせて「リアル」な空間に仕上げているんだ。

 

■本当にリアルに感じます。特にリアルに感じるポイントなのですが、右側の木々は緑で生き生きとしていますが、真ん中の木は死んでいますね。この対比にはどんな意味がありますか?
U:いい観察眼だ!どんな意味があるのかちょっと考えるね…(笑)
僕にとって作品の右側は自然を表現したものだ。春の美しい夜明けに見るような、すべての植物や自然が柔らかい夜明けの光とともに霧の中にくっきりと浮かび上がる、そんな一日の始まりの風景だ。変わって左側はというとスピリチュアルで本質的なものを表現している。「命の源」のシンボルとして雄大な日の出を描いた。日の出は芸術的で装飾的な意味をもちながら、抽象的な世界へのかけはしになっている。日の出にはきちんとした形はなくて、純粋で明確なエネルギーだ。

 


枯れた木は真ん中にあるけれど、これを見る時前方の飛び立っていく白い鷺も目に入るはずだ。この美しい鳥がシンボルになっている、魂の本物の昇華「静かな上昇(Silent Rise)」は、たぶんこの枯れた木が象徴する物質世界の幻想がすべて死んだときに起こるんだ。それは死そのものが幻想だ、ということに気づくまで何度でも訪れなければならない境界であり印のようなものだ。

 

■この作品が持つ内容はそういう事なのですね。では、この作品における一番のメッセージはなんですか?この作品を新作に選んだ理由は?
U:この作品は希望と信頼、特に命そのものに対する信頼を描いた作品だ。もっとも暗い夜の後でさえ新たな夜明けはやってくるし、死や批判をくぐりぬけて魂は再び立ち上がる。
日本の人々は巨大で破壊的な災害を体験した。何千もの人が亡くなり、多くの人が愛する人や友人や隣人を失い、アイデンティティーである家や街や、その他すべてがなくなった。それでも一年がすぎ、新しい道路や家が建ち、人々は再び未来を描き始めている。

 

僕がいつも賞賛し、そして愛してやまない日本という国、というよりも日本人のスピリットのひとつに非常に強い「無私無欲」というものがある。なんのためらいもなく自らの命を危険にさらして、福島への活動に出かけていった消防士たちを見たときには涙がでたよ。毎日休む間もなく人々の安全のために働いていた。彼らは本物のヒーローで、こういう人たちから大きなインスピレーションをもらった。
世界の国の中で日本の国旗が一番好きなんだ。なぜかというと日本の国旗はスピリットを描いているから。未来への信頼と信念の精神がそこにはある。

 

つづく