オディロン・ルドン 〜夢を具現化した画家〜 in 三菱一号館美術館

時を遡ること2012年2月。。。

“ルドンとその周辺 ~夢みる世紀末 グラン・ブーケ収蔵記念~”展にいってまいりました=・ω・=
スタッフP(堀田)が足を運んだ三菱一号館美術館 は東京・丸の内にある洋風建築の美術館。この建物は1894(明治27)年、開国後間もなく英国人の建築家ジョサイア・コンドルによって設計されました。全館に19世紀後半の英国で流行した クイーン・アン様式【アン女王時代(1702~1714年)を中心とした、イギリスの建築、装飾、家具などの様式】が用いられているというこの美術館…外観からして大変素敵な美術館です。

 

レンガ造りの、お洒落な外観
レンガ造りの、お洒落な外観

 

館前のお庭には立体作品も☆
館前のお庭には立体作品も☆

 

海外の美術館の様な巡回路
海外の美術館の様な巡回路

 

友人をパシャリ=・ω・=
友人をパシャリ=・ω・=

 

館内から見た風景。ステキです。
館内から見た風景。ステキです。

 

今展にて、心(精神状態)が画家の作品の色彩にいかに影響をもたらすか、、、を改めて知ることとなりました。まずは、今展のメインの画家、オディロン・ルドン画伯についてちょっとご紹介。

 

【オディロン・ルドン】
本名:ベルトラン・ジャン・ルドン1840年、フランス、ボルドーに生まれる。ルドンは印象派の画家たち(モネや、ルノワールなど)と同世代だが、その作風やテーマは大いに異なっている。
光の効果を追求し、都会生活のひとこまやフランスのありふれた風景を主な画題とした印象派の画家たちに対し、ルドンはもっぱら幻想の世界を描き続けた。19世紀後半から20世紀初頭にかけてという、西洋絵画の歴史のもっとも大きな転換点にあって、独自の道を歩んだ孤高の画家というのがふさわしい。

 

『自画像』 1880年 オルセー美術館蔵
『自画像』
1880年 オルセー美術館蔵

 

三菱一号館美術館「ルドンとその周辺ー夢見る世紀末」は、
第一部 ルドンの黒
第二部 色彩のルドン
第三部 ルドンの周辺――象徴主義者たち

の3つのセクションに別れていて、ルドンの画業を追体験するとともに、象徴主義を中心とする周辺画家の作品も展示されていました。黒の時代と色彩の時代の中間に位置する版画作品や、黒の時代に描かれていた風景画の小品などがあり、私にとって今まで未知だったルドンという画家の意外な一面も垣間見ることができました☆
本当に様々な作品がありましたが、館内に入っていきなり飛び込んでくるのはルドンの『黒』の世界、そして観る人を絵の中に取り込んでしまう程の精神世界でした。

 

気球 1883年 木炭、チョーク、紙
気球
1883年 木炭、チョーク、紙

 

夢のなかで VIII.幻聴 1879年 リトグラフ、紙
夢のなかで VIII.幻聴
1879年 リトグラフ、紙

 

沼の花 1880年頃 木炭、紙
沼の花
1880年頃 木炭、紙

 

この時代、写実的な風景画や肖像画、目にした世界を美しく、ありのままに表現しようとする作家が五万といた中で、己の心理描写を描き続けたルドンは先駆者であったといえます。

 

夢のなかで 表紙=扉絵 1879年 リトグラフ、紙
夢のなかで 表紙=扉絵
1879年 リトグラフ、紙

 

ルドンは母に捨てられた子供でした。
裕福な家庭であったが、兄を偏愛していた彼の母親は、ルドンを生後二日目にボルドー近郊のペイルルバードへ里子に出しました。彼は11歳までの幼少期を寂しい田で独りぼっちで過ごしたのです…。
幼い頃のルドンは、病弱で内向的な子供だったといいます。彼の心の故郷となったペイルルバート…荒涼とした寂しい風景の広がるその場所は、彼の描く精神世界の色に投影されています。木版画や版画による「黒」で想像力に基づく芸術を貫いてきたルドン。母に捨てられたという現実から目をそらし、自らの内部へとその視線を向けたルドンは、心の中に潜む闇・醜悪・幻想に小さな頃から気付いていました。

 

幼少の頃から自分だけの感性で絵を描き、15の時にも生地ボルドーの画家・ゴランに自由に描くことを教えられていたルドンは、そののち高名なジェロームのアトリエに入っても、そのアカデミズムになじむことができず、すぐに飛び出してしまう。彼はほとんど自分の世界の中だけで絵を描き続けたといいます。

 

『私の描いた例の哀しい顔は、この故郷で得たものだ。あれは眼で見たものを描いたのだから、私の描いた例の哀しい顔は、この故郷で得たものだ。子供の眼で見て、私の魂の奥の共鳴りの中に保存されてきたものだから。』 と彼は語っていました。
彼が49の時に授かった次男のアリは(長男は幼い頃に亡くなっている)初めて手に抱いて感じ得る自分の「血」でもあり、彼の支えでありました。彼は晩年、息子を何枚もの絵に残しています。

 

光 1893年 リトグラフ、紙
光 1893年 リトグラフ、紙

 

夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に) VI.日の光 1891年 リトグラフ、紙
夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)
VI.日の光
1891年 リトグラフ、紙

 

天上の芸術 1894年 リトグラフ、紙
天上の芸術
1894年 リトグラフ、紙

 

↑↑↑上の作品達で明快なように、1890年代にルドンの「闇」は影から光に向かって変容していきます。

 

神秘的な対話 1896年頃 油彩、画布
神秘的な対話
1896年頃 油彩、画布

 

ポール・ゴビヤ―ルの肖像 1900年 パステル、紙
ポール・ゴビヤ―ルの肖像
1900年 パステル、紙

 

アポロンの戦車 1906-07年頃 油彩画布
アポロンの戦車
1906-07年頃 油彩画布

 

それまで自分の、自分だけの世界に生きていたルドンにとって「帰る場所がある」ということが、心の転機になったのかもしれません。
翌年に開かれた個展で、若い画家や文学者からの注目を受けるようになったルドンは、1983年5月、ルドンの色彩作品のコレクターの一人ともなるロベール・ド・ドムシー男爵と出会い(当時のルドンは「黒」から色彩への転向の真っただ中にあった!)、色鮮やかな夢の世界、大判の大作を数々残しその名を轟そうです、今展の目玉にもなっていたのが、この作品。

 

「グラン・ブーケ〈大きな花束〉」 1901年4月 パステル/カンヴァス
「グラン・ブーケ〈大きな花束〉」 1901年4月 パステル/カンヴァス

 

ルドンの描いた《花束》の存在が確認されているのは16点。うち1点が三菱一号館美術館の「グラン・ブーケ」で、それ以外はすべてパリのオルセー美術館にあるとのこと。
もともとはフランスのドムシー城、お城の食堂に飾られていたそうです。ルドンは城主のドムシー男爵のために計18点の装飾画を制作したそうで、オルセー所蔵の15点はルドンにしては抑えめの色彩で落ち着いた印象なのですが、「グラン・ブーケ」だけは鮮烈な青のとこぼれるように咲き群がる花々が目に飛び込んできます。

 

男爵はルドンの画業を全面的に支援し、ルドンがドムシー城の食堂壁画を制作していた1900年にはイタリア旅行へも彼を誘い、その感性をのばしました!!ルドンはミラノでレオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》に感動し、ヴェネチアにも滞在しています。いま名を残す昔の巨匠は、こういったパトロンとの関係でより飛躍を遂げていたんですね。
晩年、画家として大きな成功をおさめたルドンは、世界大戦の前線にいるこの最愛の息子の消息を訪ね歩くうちに身体をこわし、妻であるカミーユ夫人にみとられて76歳の人生を閉じました。最後の最後まで息子を愛してやまなかったんですね・。・:。*☆。

 
ここで、第三部 ルドンの周辺――象徴主義者たちにて出会ったその他の幻想作家をほんの少しご紹介♪

 

1881年 エッチング、紙
1881年 エッチング、紙

 

1881年 エッチング、紙
1881年 エッチング、紙

 

1881年 エッチング、紙
1881年 エッチング、紙

 

マックス・クリンガーの『手袋』シリーズ。
ドイツの画家、版画家、彫刻家であるマックスは、独特の幻想的な作風で知られ、シュルレアリスムの先駆者とも言われる作家です。ちょうどルドンと同時期に活躍していた作家。『手袋』シリーズはそも他沢山あったので、興味のある方はぜひ調べてみてくださいね(^v^)♪

 

●ルドン展に訪れて、1枚の絵画に描き手のどれだけの人生が閉じ込められているかが突き刺さりました。作品で暗めのタッチ、ダークトーンを使っていたルドンですが…。人々との繋がりに深く感情を揺すぶられていた画家だったことを知りました。
時代背景だけでなく、画家をに影響を与えた人々との心の触れ合い、どういった心の経緯で作品を残してきたか…作家自身を知ることで初めて、1枚の作品の意味や、画家の心に触れられるのかもしれません。

 
フジムラコンテンポラリーアートでも、様々な作家さんをお伝えしております。夢を具現化した画家ルドンの展示会を観て、私の頭に浮かんだ当ギャラリーの画家はつだなおこ画伯。

 

裏庭の午後
裏庭の午後

 

卓上の夢
卓上の夢

 

アンタレスの海
アンタレスの海

 

つだなおこ画伯とルドンの共通点とも言えるのは、現実と夢が混じり合ったような不思議な作品世界、そして「色味」でもあります。もっとも、つだなおこ画伯の作品には哀愁漂うルドンの「黒の時代」とは全く異なる、単色の中に隠された虹色の想いがあります♪

 
つだなおこ画伯が駆使されているのは、世間では‘黒、もしくは銀’と捉えられている鉛筆、そして鉄筆というインクを使わない画材。一見一色に見えてしまいがちなこのモノクロームの世界ですが、先生の想いを知り、鉛筆の奥深い世界を知り、作品を眺めていると色彩の作品以上にカラーを感じてくることがある…そんな不思議な魅力のあるつだなおこ先生の作品世界。ルドンの世界を知った後よりいっそう魅力的に感じます

つだなおこ画伯の作品世界を見られる際はぜひ、心を解き放ち作品世界の中に隠された色彩を感じ取ってみてください・*.。゜☆・・゜。・*.。゜☆・・゜