ニューヨークアート紀行:チェルシー街

皆さんこんにちは。これより私たちフジムラコンテンポラリーアートはNew York Art EXPOに参加する旅を3回に分けてレポートいたします。

 

今回はニューヨークアートシーンの最先端であるチェルシー街をご案内させて頂きます。
チェルシー街は、ニューヨークの中心地タイムズスクエアから、地下鉄で南西に15分程で到着します。この一帯は、元倉庫街であり、一区画違うところには、19世紀の町並みを保存するチェルシー歴史保存地区という地域を持つ新旧混在するエリアです。
画廊街としての発展は、約10年前、当時画廊街があったソーホーが観光名所になったことで、地価があがったことからチェルシー地区への移動が始まり、今では、大小合わせて300にも及ぶギャラリーが22丁目から25丁目の三本通りを主として、集まっています。最近では、旅行雑誌でも最先端ニューヨークアートシーンの紹介として掲載されている程、観光客にも注目されています(ニューヨーク初旅行である私が買ったガイドブックにも載っていました)。

 

 

ニューヨーク

 

SOHO

 

 

まず驚いたことが、「ビル全てがギャラリー」というギャラリービルの存在、それに元倉庫街であったことも関係があると思いますが、まるで体育館のように広いスペースと高い天井・・・いずれも日本と比べると銀座のような敷居が高い・こぢんまりというのとは、大きく違って、人種も何も関係なく「Come On!」といわれているようなオープンな印象を受けました。それはきっと、アメリカが、アートを当たり前と受け止めているからなのでしょう。

 

チェルシーのギャラリーといっても、余りにも広いものですから、ニューヨーク到着前から、チェルシーを代表する大手ギャラリーから回ることを決めてました。
しかし、実際訪れてみると、ドアに小さくギャラリー名が記されているのみで、知らなければ通り過ぎてしまうような感じです。今回は、22~25丁目の間でも、中心である24丁目をメインに回りました。・・・ですが、あまりにも前衛的、かつ斬新すぎて、作品を前にして思わず考え込んでしまい、作品に対して、「どういう意味があるの?」と聞きたくなってしまうようなものも・・・。ギャラリースタッフの方にも慣れない英語力を駆使して聞くも、「意味なんて分からないよ!」と返されたり・・・。小さなことにとらわれず、そのものを見て!ということなのかもしれません。

 

約300箇所あるギャラリーのうち、特に印象に残ったギャラリーをご紹介致します。

 

 


 

 

(1) ガゴシアンギャラリー

 

ガゴシアンギャラリー

 

ガゴシアンギャラリー

 

 

ニューヨーク、サンフランシスコ、ローマなどにも支店のある大手ギャラリー。アンディー・ウォーホルなどのアメリカ現代美術を代表する画家を扱ったことで知られています。
このときいらっしゃったスタッフは、受付の方2名と男性ディレクター2名。アメリカ出身の画家、リチャード・アートスカワギャーの作品をメインにしていました。絵画と立体アートの展示を行なっていました。その数全部で16点。画材は、チャコール・アクリル・ラミネートハンドメイドペーパー・サンドボードを使用し、一部に車のラバーが入っている等コンテンポラリーアートそのものといった作品。どんな意味を持つのか聞くと、「意味などはないですよ。」とのこと。しかし、深みのある絵画は、5歩下がって斜めから覗けば浮かび上がるシーンがあったり・・・。技術的には、大変奥深い簡単には真似できないものがあります。

海外の観光客にも、丁寧な対応をしていたのが印象的で、さすがはチェルシーを代表する大手ギャラリーだとうならせられました!

 

 

 

 


 

(2) メアリーブーンギャラリー

 

1980年代にバスキアを世に送り出し、ソーホーを席巻したことで有名なギャラリー。残念ながら、今回は、写真と映像の展示を行っていたので、ギャラリーの雰囲気だけを見てきたのですが、スペースは本当に体育館をイメージするような天井が高く広い空間になっていました。

 

 


 

(3) ジュリング・オウガスティン

 

ここは、ギャラリービル隣の路面に面したギャラリーで、今回は、ジョージ・コンドという作家の展示を行なっていました。ガゴシアンギャラリーと同じで、広い空間に、巨大な作品だけがかけられていました。ここでは、展示している画家のことよりも、今のチェルシーアートシーンの貴重な話を、ここでバイトをしている日本人美大学院生の方から聞くことができました。
(彼は、在住歴7年。彼の制作作品は、映像と組み合わせたコンバインドメディアという、ニューヨークでの流行ジャンルだそうです。)

 

作家については、著名な作家で、画集が何冊か出ている位です。そのとき展示されていた作品は、キリストの磔刑から天国に至る4連作で、若干パロディ風でアニメのようなタッチで描かれていました。個人的には頭を傾げてしまうようなところがありましたが、何と、全て販売済み!しかも、価格は約2000万近くするとのこと(!!)で、再度仰天しました。
「フィギュラティブ」という、抽象画から具象作品が主流になっているチェルシー街の主流画風だそうです。何でも、アメリカでは税金対策として、(アメリカの法律では、アートは税金がかからないのです)コレクションしている方も多いとのことで、まとめて購入されるコレクターの方もいらっしゃるとか・・・。日本との感覚の違いですね。非常に驚きました。

 

 

ジュリング・オウガスティン

 

 

他にも多数の契約作家を抱えていて、その中には日本人画家もいるとのこと。ニューヨーク以外でスタジオを所有する画家なのに、契約するギャラリーは、チェルシーを選ぶようです。それだけ作家にとってチェルシー画廊街というのは、自分たちを第一に評価してくれる場所なのだという認識があるからこそ、今後もチェルシーのギャラリーが低迷することはないのでしょう。

 

 


 

 

(4) マシューマークスギャラリー

 

こちらは、チェルシー街の草分け的な存在で、旅行誌にも載っているような大手ギャラリーです。
私達も期待していましたが、今回の展示は、使用済みペットボトルを紐で結んで組み合わせたような作品と合わせて、壁にはポートレート風の小さな版画作品、鏡を組み合わせてある立体アート(?)などが展示されていました。個人的な感想では、子供のときの図画工作のようなもので、理解するのにはしばらく時間を要するかもしれません・・・。

 

 

マシューマークスギャラリー
展示スペース

 

マシューマークスギャラリー
ペットボトルを使用したアート

 

 


 

 

(5) マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリー

 

(5) マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリー
映像機材

 

マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリー
その映像を絵画とした作品

 

マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリー
ポップアート

 

 

ギャラリー入口付近には、ポップアートを、奥にはコンバインドメディア(映像を流し、その映像を絵画として描いたもの)が展示されていました。これが、最先端ニューヨークアートシーンのようです。その他のギャラリーでも、こんな面白い作品がありましたよ!

 

 

ウッドアート
ウッドアート

 

シャツをアレンジした作品
シャツをアレンジした作品

 

超リアルオブジェ
超リアルオブジェ

 

流れるアート
流れるアート

 

流れるアート
流れるアート

 

 


 

どのギャラリーも、そのとき展示している作品に関して、まとまった雰囲気があり、白壁のギャラリーでも、コンクリート剥き出しの壁であっても、作品が呼吸をして生きています。実際、チェルシー画廊街を回って、他の国にアトリエを構えても、展示されるのだったらここを選ぶ画家の気持ちが少し分かるような気がしました。生きたアートにしてもらえるというのは、作り手にとっては至上の喜びですよね。
それに、大手といわれるガゴシアンギャラリースタッフの説明力や丁寧さなどは、同じギャラリースタッフとして、学ぶところはとても多くありました。チェルシーギャラリーは、飾っている作品や、スタッフの方の丁寧な対応などはいうまでもなく、ギャラリー内の少し緊張感を感じる空間が心地よく感じられました。私たちも、横浜元町からそんなギャラリーをつくりあげていきたいと感じました。

 

 

また、この後には、バッテリーパークから手の平サイズでの自由の女神を見て、夕食は、「バードランド」という一時代を築いたジャズ・バーで会食。ジャズ・バーというと、あまり興味の無い方でも、「ブルーノート」という名前は耳にしたことがあるかと思いますが、「バードランド」は、若干年齢層の高い大人のプレイヤーが所属したことでも有名で、「ブルーノート」と人気を二分しています。約20年の閉店の後に再度オープンした「バードランド」は、巨匠といわれるプレイヤーが集う伝説的な存在です。全員が一体化して音楽を楽しむ様子は、アメリカの社交の世界であり、日本にいては分からないアメリカ文化だと感じました。