本日のブログは、スタッフIが美術展の鑑賞レポートをお届けします。
美術展情報の入手と言うと、同僚スタッフから紹介されたり、美術雑誌やキュレーションサイトから得ることが常ですが、今回はたまたま見つけた1枚のチラシから始まりました。
それがこちら。
野地美樹子という方の《Uneri》という作品が描かれた「水 -巡る- 現代日本画展」展のチラシ。
“写実的な海面”とは別の何か、ブワっと海中に引き込まれるような感覚があり、すぐに展覧会情報をチェック。
郷さくら美術館で開催されている美術展で、雨・沢・滝・湖・川・海といった“水”をモチーフとした現代日本画を展覧、さらに満開の桜作品だけを展示する「桜百景展 vol.32」も同時開催しているとのこと。
「行くしかない!」と即決し、《Uneri》目的一辺倒で鑑賞しに行ってきました。
ジャケ買いならぬ、ジャケ鑑賞です。
「水 -巡る- 現代日本画展」鑑賞レポート
お初にお目にかかる、東京中目黒の郷(さと)さくら美術館。
3階建ての“こじんまりモダン”な美術館です。
今回チラシを見つけなかったら足を運ぶ機会がもっと遅かったかもしれない…と考えると良い巡り会わせをいただきました。
郷さくら美術館
郷さくら美術館は、現代日本画をご覧頂くための専門美術館として、2006年10月に福島県郡山市に、2012年3月に東京の中目黒に東京館をオープンしました。
(中略)
郷さくら美術館 東京は、桜の季節には大勢の花見客で賑わう目黒川のほとりに位置します。毎回テーマを設けて構成されるコレクション展を中心に、年に4、5回の展覧会を開催します。全4室となる展示室には、毎回40点余りの作品が展示されています。繊細な日本画を親密な空間で楽しんで頂けるような展示を心掛けております。また、「満開の桜を日本画で楽しんで頂く」というコンセプトに基づき、桜がモチーフの屏風作品を含めた大作十数点を常設する展示室を設けております。
個人的に昔から水や海、特に源流や山あいを流れるせせらぎといった水の流れに妙に惹かれるところがあり、そこから派生して動きのある川、滝、海などへ無意識に引き寄せられている自分がいます(そもそも人はみな火や水の揺らぎに癒しを感じるのでしょうけど)。
この《Uneri》も、その影響を存分に発揮し、僕に一直線に突き刺さりました。
酒井抱一の「波図屛風(なみずびょうぶ)」を彷彿。
四曲一双の屏風に描かれたこの海面は、タイトルの“うねり”通り、真正面から水の強さ(≒怖さ?)をぶつけられているようです。
左右の絵で波の動きや、海の青さは異なっており、それぞれに違った力強さが蠢いています。
鳴門の渦潮のイメージっぽいけれど、どこの海か場所を特定しない方が得体のしれない強さ・怖さを感じれるなーと見入っていました。
離れたり、
近寄ったりしながら、ずっと見てました。
このほかにも、「水 -巡る- 現代日本画展」展には30点あまりの“水モチーフ”作品が展示されています。
有名どころでは千住博の《ウォーターフォール》や、
NYで展示しており、中目黒では5年ぶりの展示となる平松礼二《ジャポニズム・モネの池図》など。
滝や、
雨、
湖や川がモチーフになった作品が展示されています。
透き通るターコイズブルーの中を泳ぐ魚を精緻に描いた作品には、清涼感あふれる揺らぎが満載。
一画には画材の紹介もありました。
また、同時開催の「桜百景展 vol.32」では、桜をモチーフにした作品が数多く展示されています。
このうだるような暑い夏を吹き飛ばすかのような爽やかな水と桜は、体感温度を下げてくれて、心地よい空気感を感じながら美術館を後にしました。
写真撮影とフリーWi-Fi
美術館内は写真撮影OKで、
「ポケット学芸員」というアプリで音声ガイドも聞くことができます。
フリーWi-Fiも飛んでいるのでご活用ください。
「水 -巡る- 現代日本画展」開催概要
■展覧会名
水 -巡る- 現代日本画展
■会場
郷さくら美術館(東京都目黒区上目黒1-7-13)Googleマップ→
■会期
2023年6月27日(火)~8月27日(日)
休館日:月曜日
※ただし7月17日(月)開館、7月18日(火)振替休館
■開館時間
10:00-17:00
※最終入館16:30
■チケット料金 ※東京展の情報です。
一般500円、シニア(70歳以上)400円、大学生・高校生300円、中学生100円、小学生 無料(保護者の同伴が必要です)
※障がい者手帳・療育手帳をご提示頂いた方のみ、該当料金の半額です。
※予約不要でご入館いただけます。