キム・ソングン来日展 ~総合編~

みなさん、こんにちは!すでに前にも関連記事が載っていますが、2010年3月26日から28日まではキム・ソングン画伯の第2回来日展でした。

絵画が中心だった今までの作品を超えて、絵画の限界を無限に広げたキム・ソングン画伯の新作が、横浜で初めて披露されました。ただの新作発表で終わるのではなく、国境を越えたアートの交流ということでも意味深い来日展でした。

 

 

来日展に参加されたお客様にはお分かりになっていただいたと思いますが、実はこの新作がとてもとても面白いです。先生は、「絵画の限界を無限に広げた」という表現を使いましたが、まさにその通りですね。

絵画より何倍も小さい空間に、ほぼ無限のような空間の拡張を実現させたキム・ソングン画伯の新作、来日展でこの新作が一つ一つ公開される度に、ギャラリーのお客様からは「お!」「すご~い!」の嘆声がも上がりました。

絵画に比べて一層狭くなった表現空間ですが、帽子、椅子、ベンチ、雲など、先生のトレードマークのような素材はどれ一つ抜けることなく、すべてが綺麗にまとまっています。作品ごとのメッセージおよびストーリーももっと素晴らしく、分かりやすくなり、キム・ソングン作品に初めて会う人でも、すぐ彼の作品を理解して、楽しめるようになりました。

 

キムソングン画伯と奥様の元町デートシリーズ

 

 

 

 

あるお客様との会話でキム・ソングン画伯はこのように作品について語りました。
「もちろんのことですが、私は作品を制作する際に、素材一つ一つに意味を付与します。空を飛ぶ鳥一羽、木一本、何一つ意味のないものはありません。素材に意味があるということは、作品に私のストーリーが含まれているという話にもなります。

 

しかし、私は作品に含まれているストーリーをコレクター様に強要するつもりはありません。コレクター様が私の作品を見ながらあるストーリーを考えたとしたら、そのストーリーはそのままで正しいです。

もし私が寂しさ、孤独の意味として雲を描いたとしても、コレクター様がその雲を見ながら自由、解放を感じたとしたら、その雲は自由になり、解放になるわけです。

 

私は、より多くのお客様が私の作品をご覧になって、自分だけのストーリーを持っていただきたいと思っています。そして、私の作品を通じて、一人でも多くのお客様に楽しんでいただいて、幸せになっていただきたいです。結局、アートは見る人の心をうつす鏡のような存在だからです。」

 

お客様一人一人を覚える心遣い

 

inudol(犬+アイドル)のじゅん!

 

そして新作に関しては次のような話もしました。

「今回の新作に関して、私は作家としてこんな話してもいいかわからないけど(笑)、非常に満足しています。今回の新作は、私には絵画の壁を乗り越えたいという私の考えがやっと実現されたスタートのようなものです。

 

実は、新作の製作は、既存の絵画に比べて何倍も大変。私の絵画作品を卑下するのではありません。絵画より小さい空間に絵画より広いイメージを入れようとするため、企画段階から色々な表現技法、方法を考えておかなければなりません。そしてやっといい企画ができたとしても、それを実現するため、何度もの試行錯誤をし、その都度やり直さなければなりません。サイズが小さいですので、精神的にはもちろん、肉体的にもかなり疲れを感じます。

しかし、出来上がった作品を見ると、製作の疲れはいつの間にか消えてしまいます。今までなかった新しい作品を自分の力で作り出せたということがたまらなくうれしいです。作家としてこんな話はなんですが、見るだけで幸せになるんです。たくさん苦労して、たくさん悩んだ作品だからこそ感じられる、自分へのご褒美のような感情ですね。

 
いつもキムソングン画伯の話を通訳しながら感じたことですが、今回の来日展でも画伯は、抽象的で難しいアートの話を、素人でも分かりやすく淡々と且つ丁寧に説明してくれました。
そして3日間の日本滞在中、絶え間なく作品のほこりをふき、傷のことを心配し、さらに新作のことを企画、工夫するキムソングン画伯から、私は「アーティスト」という言葉の本当の意味を感じました。

 

お客様へのメッセージも忘れません

 

キム先生とチェさん。作品の解説中の一枚です。

 

今回の来日展は、日本国内にキム・ソングン画伯の作品世界をより広く広げるための大切なきっかけになったと思います。日々進化しつつあるキム・ソングン作品、次はまたどんな作品で私たちを驚かせてくれるかが、実に楽しみです。期待しています…。

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